2012/03/24

漫画感想)3月のライオン(7)/羽海野チカ

面白過ぎて上手く紹介できる自信がない漫画ベスト1に輝き続ける(僕の中で)3月のライオン最新刊のご紹介。


表紙は零くんのメガネをかけてみたひなちゃん。か、可愛すぎるやろー。表紙に限らずこの巻はひなちゃんが可愛くて生きてるのが辛くなるレベルなんですが、そればっかり言ってると流石に面白さが微塵も伝わらないと思います(当たり前だ)。

主人公の零くんは、苦難のことを「嵐」という比喩で表します。
島田さんや二階堂は、自ら進んで「嵐の海」に漕ぎだしていくキャラクターです。宗谷名人は(零くんから見れば)「嵐の向こう」を目の当たりにしている人物です。

この巻では一旦、「嵐に立ち向かわない」人達にカメラが向けられた、そんな風に感じました。
以下ネタバレありですのでご注意下さい。


前新人王・山崎順慶

第6巻で、二階堂を下すも決勝戦で零くんに敗れた山崎さん(顔的にさん付けになっちゃう)、実は苦難に繰り返し挑むことが辛くなってきていたそうです。
彼はその苦しさと恐怖を潜水に喩えています。

深く読む事は まっ暗な水底に 潜って行くのに似てる
(一部略)
昔は潜れば潜る程「答え」が手に入って
恐怖より「欲しさ」が勝っていた
(一部略)
「見つかるかも」より
「またどうせ見つからないかも知れない」が勝った時から
リミッターの効いた努力しかできなくなった

でもそんな俺を尻目に
桐山と二階堂は当然のように飛び込んで行く
――何度でも

ー「3月のライオン(7)」Chapter64より

彼の採った戦術は、防御をガチガチに固めて相手のミスを待つというものでした。それを零くんは不快に感じていたようですが、これを聞くと共感しやすいのはむしろ順慶さんの方かも知れません。

困難の先に勝利であれ何であれ「ご褒美」が見えていれば、頑張るのはそう難しくありません。ただそのご褒美がどんどん遠くへ行って、とても手が届かないほどになり、やがて目をこらしても在るのか無いのかすら分からないようになってくると、それでも頑張るのは勇気が必要ですよね。尻込みしちゃうのも無理ないと思うんですよ。

順慶さんから見れば「当然のように飛び込んで行く」零くんは、自分自身を「まだ嵐の中に入ってさえもなかった」と評しています。また、「嵐の向こう」にあるものは「ただ更に激しいだけの嵐なのだ」とも。
ストイックというか、ドMというか…。安っぽいまとめ方をすれば「生きる事は戦いだ」という話なんですかね。

問題児・高城

ひなちゃんのクラスカーストの最上位格、ちほちゃんを転校に追い込んだ張本人、高城。彼女を弁護するつもりはないし弁護なんてできないんだけど、分からんでもない事を愚痴っています。

ねぇ先生 私たちこの先 生きてて何かいい事あんの?
(一部略)
「がんばればいい事ある」って保証もないくせに がんばれがんばれって それおかしくない?
一生懸命がんばった挙句にダメだったとしても 誰も責任とってくれないんでしょ?

ー「3月のライオン(7)」Chapter70より

この娘がどうにもムカツくのは、そんなに頑張ったわけでもない様子なのにこんな事を言っちゃう点と、その薄っぺらな不安を他人に八つ当たりでぶつけた点で。
例えば「全身がちぎれるような思いをして潜っても手ぶらで戻る事が殆どになった」順慶さんのように遮二無二がんばった人が思わずこれを口にしたのであれば、そういう不安も分からなくは無いような。

まぁこういう娘の場合は自分の周りの「いい事」が幾らあっても気づかないでしょうけど。自分の欲しいものがなんだか分かってないだけなんでしょうけど。
「甘ったれんな」の一言で終わりなんですけど。

修験者・麻倉幹久

3月のライオンとは関係ないんですが。上のように「嵐に立ち向かわない」2人をまとめてみて僕が連想したのは「シャーマンキング」に登場するキャラのこんな台詞。

大人になるとある日 ふと誰もが気づくんだ
頭上に迫っている 自分の限界というべき天井の存在にね

そしてそれは年をとるにつれて近づいて
シミや汚れがわかるほどますますハッキリとしてくる

ー「シャーマンキング(17)」第百四十八廻より

零くんは、何かを得る為ではなく只前に進む為に嵐へ飛び込もうとしています。
進むこと自体が目的だから、天井(=限界)が見えてしまったらそこで終わりになってしまいそうで、零くん達にそんな日が訪れなければ良いなぁと思います。

幹久はもう止まってしまった大人で、物語の中では多少否定的に描かれたりもしますが、それはひたすら先を目指して限界に挑戦し続けたからこそ。高城みたいなスタンスのままでは、永遠に天井は見えなかったことでしょう。

  

それはそうとひなちゃん可愛い

以上マジメに感想を書いたりもしましたので、思い切り叫んでも許されるように思います。
もうね! もう! 零くんの鈍感ぷりっといいね!
  • この巻で最初にひなちゃんが出て来るコマでもうやられました
  • メガネかけてぐるぐるしとるひなちゃんもいいです
  • 零くんの隣でプリン待ってるひなちゃんが最高にマーベラス
  • 「私許さなくてもいいですか」全然オッケーだと思います
  • 夏みかんの香りを嗅ぐひなちゃんなど家に飾っておきたいレベル
  • でもね零くん幾ら悩みが解決しても人間の女の子は発光しないのよ
  • 口の中のヤケドをあんぐり見せちゃう辺り無防備すぎる
  • アマガミっていうか本気で噛んでる…裏山…
  • あとね零くんそれ忠誠じゃないから…!
大幅に圧縮してこの位の分量になりました(もう削れない)が、始終ニヤニヤしたり机バンバンしたりほぅっと見入ったりと全く忙しい漫画ですよコレは。


(この巻のベストひなちゃんはこのコマなんだけど余りにも可愛いので手近にあった雑誌の表紙で隠してみたよ☆ 「まさにドS!」)

2 件のコメント:

  1. こんにちは。初めまして。
    乙嫁語り4巻の、頭を触ったから責任とって結婚~が気になって検索してたどり着いたのですが、こちらの感想も気になって覗いてしまいました。楽しく拝見させていただきました。ありがとうございます。
    ひなちゃん可愛すぎですよね^^

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  2. コメントありがとうございます♪
    大体いつも「○○可愛い!萌え!」を叫ぶばかりのブログですみません(笑)
    特にひなちゃんはもうね…最高ですよね〜

    返信削除

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