2011/12/31

書籍感想)ラッコ11号(番貝編)/平丸一也・ひなたしょう

週刊少年ジャンプにて連載中の「バクマン。」に登場する平丸一也氏が、劇中のジャンプで連載していた「ラッコ11号」のノベライズ。
僕はこれまでの「バクマン。」感想で何度も書いている通り平丸&吉田ペアが大好きなので迷わず購入。終始笑いながら読み終えたよ!


ラッコ11号 番貝編
闘え!平帆水産株式会社 第一宣伝部部長

作者のひなたしょう氏には失礼かもしれないけれど、これ平丸さんが書いてるとしか思えない…!それくらい平丸さん成分がぎゅっと詰まった一冊。ファン必読。
以下、ネタバレあり。


「バクマン。」に登場する平丸さんは、働くのが嫌で嫌で仕方がない人で、漫画を書くのは楽なのではとサラリーマンを辞めて漫画家になったという変り種。漫画家だって当然決して楽な職業ではなく、転職直後から「辞めたい」「描きたくない」「休ませてくれ」を連呼するも、敏腕編集者の吉田氏にその都度美味しいエサをぶら下げられてずるずると原稿を書く様が可笑しい。

ここでも安定のコンビ

で、その平丸さんが描いているラッコ11号に登場するムカつく男の名前は全員「吉田」らしい。何という楽屋落ち。こっち側の読者としては楽しいけど!
ちなみに、編集者の吉田氏が何人もいるわけではなくて、別々に存在している何故か同じ顔(当然吉田氏そっくり)の癇に触る男性が全員吉田という姓という事みたい。「バクマン。」に登場する吉田氏には実在のモデル(実在のジャンプ編集部勤務)がいるらしいんだけど、その方はこれを読んでどんな顔をするんだろう…。

なんか分かりにくいけど、現実世界とバクマン世界とラッコ11号世界の全てに同じ顔の吉田さんがいるという事です。なんのこっちゃ。

バクマン。世界に視線を合わせて言うと、日々(編集者の)吉田氏にいいように働かされている平丸さんが、自分の作品の中に吉田というキャラクターを登場させて、そこで鬱憤をぶつけているという…。ネガティブだなあ。まぁ文句いっても大抵はぐらかされるもんね。

ちなみにこの小説、左側ページの左下にはページ番号の代わりに「ヒラホー」という文字が入っている(平帆水産だからヒラホーなのか)んだけど、所々平丸さんの魂の叫びに挿し替わっているので探してみるべし(1貝に1箇所で計5箇所だと思う)。

※正しくはは「土の下に口」の「吉」田と書く。

フリーダム平丸さん

吉田氏以外にも平丸さんの願望がダダ漏れになってしまっているのが、恋のお相手・蒼樹嬢。

人質にされた女性が不安げな表情で私を見つめている。美しい女性であった。女子大生であろうか、ふんわりとしたナチュラルボブショートヘアのよく似合う知的な美人である。
(一部略)
「あ、蒼葉洋子というペンネームで……」
「蒼葉さん!なんて美しい名前なんだ!好きです!」

ー「ラッコ11号(番貝編)」P55〜56より

どうみても蒼樹さん(本名:青木優梨子)です。本当にありがとうございました。
この場面で好きです!って叫んでるのは平丸さんじゃなくてラッコ部長だけど、平丸さんの心の声ですよね。黄色が好きってのも平丸さんと一緒。

自分の作品の中に好きな相手を出してそこで気持ちを伝えてしまうという、やりたい放題というかヘタレというか、平丸さんだなあ。

当然ながら、休みたい欲求もダダ漏れになっていて、

主人公であるラッコ人間が捕まってしまっては、もはや休まざるを得まい。すなわち、来週の週刊少年ジャンプに掲載されるはずの『ラッコ11号』は休載することになる……。これはしかたのないことだ。

ー「ラッコ11号(番貝編)」P67より

あまつさえ、作者本人が作品の中に登場したりする。

「捕まえたら、もうマンガを描かないで済むんだ!」
マンガ家とおぼしき男までもが天に向かって叫んでいた。

ー「ラッコ11号(番貝編)」P55〜56より

どうみても平丸先生です。本当に以下略。

バクマン。ネタ

本家「バクマン。」に登場した「ラッコ11号」の台詞(『人として許せてもラッコとして許せん!』とか)もばっちり収録。「ラッコ11号」は『台詞にセンスがある』マンガとして紹介されたのでノベライズのハードルも高かったように思うけど、似た味の台詞が他にも多くて楽しかった。
幾つか紹介すると…

「(一部略)なにもしないから止まれ!殴るから止まれ!」
「どっちなんだよっ!?」
「いいから止まれ!止まらないと殴るぞ!」

ー「ラッコ11号(番貝編)」P51より

「ちっ、ジタバタと……。いいか、動くなよ。動いたら今度こそ本当に殴る」
「う、動かなかったら……?」
「殴るに決まっているだろ?一体何を言っているんだお前は?」

ー「ラッコ11号(番貝編)」P53より

ひどい。基本ラッコが人を殴る話だからな。

他にも細かいネタが沢山あって、ラッコが紅茶を飲む際の効果音がじゅるじゅるだったり(平丸さんが飲み物を飲む際の効果音、あと蒼樹さんの影響か紅茶派)、ラッコの愛車がポルシェだったり(平丸さんも)、ラッコ裁判編の名前が出てきたり(小説では免れるが漫画には実在する)、原作漫画の設定回収率はかなり高い。

また、恥ずかしながら「バクマン。」コミックス12巻の表紙に吉田氏がいるという事実、これを読むまで気付いてなかった…。ショック。そんな事も気付かせてもらって嬉しい気持ちに。

バクマン。(12)

上の画像のサイズでは吉田氏は発見できないと思う、というか実物を手にとってもかなりよく見ないと発見できない。
良く考えると、吉田氏がいなかったら平丸さんが漫画描いてるわけないんだけどね…。

さて、今年もおしまいです。皆様よいお年をお迎え下さい。年明け早々にはバクマン。最新刊も発売されます。楽しみ〜♪

バクマン。(16)

2 件のコメント:

  1. 作中世界
    ・漫画歴1カ月で連載
    ・漫画は2作とも大ヒット
    ・アニメ化でグッツもウハウハ
    ・婚約者は超美人

    現実世界
    ・人気投票では実質勝者(ラッコと吉田氏がベスト10)
    ・出世作ラッコ11号がリメイクで漫画家
    ・そしてノベル化
    ・現実でもグッツ売れまくり

    平丸先生の勝ち組度が半端ないW

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      リスト化してくれるとわかり易いですね、確かにこれはひどい勝ち組ww
      現実世界では明らかに主人公コンビやエイジよりも名前が売れてますもんね、
      多分大場さんと小畑さんにとっても想定外なんだと思います。楽しい誤算ですな〜。

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