2011/08/08

「消せる紙」を試して分かった意外な特性

twitterで「消せる紙」という商品を見かけ、興味を引かれたので衝動買いしてみた(安かったし)。

公式ページ
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一言で説明するとポータブルホワイトボード。「ホワイトボードがない部屋での会議」といったシチュエーションを主として想定しているようだ。こっちがこの商品の真っ当な使い道だと思う。普通に便利だろう。

僕の場合は、邪道外道を承知で、外で使えないか?と考えて買ってみた。
結果、紙のノートと比べてどっちが使い勝手が良いかと問うなら、残念ながら紙に軍配があがった。
だけどやって見て良かった。これは紙とは違う特性を持った出力デバイスだ


外にいると、メモしたい事が沢山発生する。
  1. ポスターを見かけて、映画の公開日を
  2. 電話がかかってきて、伝言を
  3. 本を読んでいて、考えた事を
  4. 人と会った後、その日の決定事項を
  5. 突然ひらめいたアイデアを
僕は覚えておくのが酷く苦手だ。記憶力が悪い。だから人一倍メモに頼っている。

携帯やポメラといった、デジタルメモもある。ただ上記の1や2はいいが、3以降は書き留めておきづらい。
文章になるよりずっと前のもやもやした着想や、ポンチ絵にしてしまった方が遥かに分かり易いような相互作用を、書き留めておきたい。

そういう用途には紙のノートを使ってきた。それで特に問題はない。
ないけれど、ハックしたい。試しに、「消せる紙」をこの用途に充ててみた。

思いつくままに、まとまるより遥か前のアイデアを、紙に書くように書き殴ってみた。



(字が物凄く汚いので画像をかなり小さく加工)


(撮って画像データ化できるのは別に「消せる紙」の特性ではないし)




紙に対して鉛筆やボールペンで書く行為に比べれば、まず書き心地(感触)という物理的特性が異なっている。しかしそれ以上にアウトプットに影響を及ぼす特性は、とにかく消えやすいという点だ。

消えやすいが故に、僕が目論んでいたような記録的用途としてはちょっと厳しい事になった。しかし消えやすいのも悪い事ばかりではなかったのだ。

ホワイトボードで会議中にもよくある事だが、ちょっとした間違いなら指でこすって訂正してしまう。これは、消しゴムや修正ペンで消す行為と比べてほんの数秒短いだけだと思うかも知れない。
しかしこの無類の消えやすさは、書き間違いに対する心理的ハードルを有意に下げてくれる。その内に、「考える」と「書く」の順序に逆転が起こる。

訂正に要する時間
順序
紙とペン
数秒
考えてから/ながら書く
「消せる紙」
一瞬
考える前にとにかく書く

というわけでタイトルに繋がる。この紙は、アウトプットの「速さ」「量」を高める特性を持っている。一番分かりやすい活用例はブレインストーミング的アイデア出しの場面だ。変な事を書いたら消せばいいのだ。書いてから考える。
但しこの特性は、会議室に一枚だけあって書記係が書き留めるのでは「遅い」ので発揮されない。一人一枚、机の前に、だ。

ブレインストーミング以外にも用途は考えられる。

上の画像の中にER図のでき損ないのような図があるが、こういう図はきっちり見栄えよく描くと案外手間がかかってしまう。
例えば新入社員が叩き台を作り、教育係が時間をとってレビューをする、といったシチュエーションを想定してみる。新人は叩き台をきっちり印刷して持ってくるのではなく、描きながら説明をすべきだ。どうせ直しが入るのだから
指摘を受けつつ修正する必要が事前に想定できているなら、描きながら同時に資料を作った方が速くて効率的ではないか。

別の例として、GTDというタスク管理術のファーストステップに「今自分が抱えているタスクを漏らさず書き出す」というのがある。これを紙に書いているとかなり時間がかかる。考え込んでしまうのだ。
ブレストと似たようなものだが、こういう「頭の中をひっくり返して、アイデアの棚卸をする」ような時には、素早く消せる「消せる紙」が助けになるかも知れない。



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