2012/02/02

LINEの利用規約改定について

1月19日にLINEの利用規約を批判する記事を書いたら、その1週間後にLINEの利用規約が改定になりました。僕の力か。Twitterで色々意見が集まって、それを反映したようです。
1月27日に改定された規約の変更点はこちら。
批判しっぱなしというのも無責任なので、新しい規約も読んでみました。アプリも触り直してみました。

結果、僕にとっての問題点3つの内、1つは改善され、1つはそのまま問題として残り、もう1つは良く分からないままとなりました。
前進はしたけど解決はしてない、って感じですかね。詳しくは以降。


前置き

僕がこの種の文書を読む際には「本当にこの規約通りに運用されるのか」という疑いは一旦捨てています。捨てないと話が始まらないので。その疑いは、規約内容をよく読んで納得した後の段階で検討すべきものです。
なので、Togetterでやりとりされているような暗号化とかハッシュとかいう話はここでは問題にしません。

3つの問題点

  1. 利用者が預けた個人情報を、事業者側が(その気になれば)いつでもなんにでも使えちゃうような逃げ道が用意されている。使途が限定されていない。
  2. 利用規約をいつでも変更できる上に、変更した事を利用者に通知する義務を負わない。連絡先は絶対に把握してるくせに。
  3. 利用を止める場合、アプリを削除する前にアカウントを無効化する操作を行わないと、個人情報が事業者の手元に残り続ける。
今回の規約改定は主に1に関するもので、この点はほぼ解決されたと言って良い表現に改められています。
規約本文をコピペしても分かりづらいので僕のフィルターで翻訳してしまいますが、
改定前
このアプリはA、B、Cの情報を収集します。収集した情報はa、b、cという用途に使います。
みたいな感じでした。このうち用途cは凄くふわっとした、どうとでも解釈可能な用途でした。これが以下のように改定されました。
改定後
このアプリはA、B、Cの情報を収集します。
Aはaという用途にだけ使います。
Bはbという用途にだけ使います。
Cはcという用途にだけ使います。
こんな感じです。大分変わりましたよね。
c、つまり「利用者の利便性向上、より良いサービス提供のための利用者傾向の分析などのため。」という事業者無双な用途があるのが不安といえば不安ですが、Cは「端末識別番号」だけで、他のいかなる情報も含まない事になっていますから、そんなに悪用もできないでしょう。

ここで、前置きの疑いに少しだけ戻ります。
つまり、端末識別番号を他の用途に使う事がないかという疑いです。そもそもユーザ同定を電話番号で行なっている(と思われる)LINEが端末識別番号まで収集しなければならない理由はユーザ側からは見当たりません。名寄せに使ってんじゃないの、ユーザ追跡してんじゃないの、という疑いは残ります。

2の、規約を勝手に変えられるというのは以前のままです。今回は不安を解消する為に積極的に広めていたようですが。
3の、一度登録した個人情報がいつまで残り続けるか分からないというのも以前のまま。当社規定に従い削除しますとの文言がありますが、その当社規定の内容が分からないのでモヤモヤしっぱなしです。

UIの問題

僕にとっての問題点は以上の3つですが、Togetterを見るとこんなやりとりがあったようです。


ここにある通り、LINEというアプリでは端末内のアドレス帳をサーバにあげるかどうかを選択可能であり(これは以前から)、それを利用規約にもはっきり書くことにした(27日から)ようです。
ただし恐らく、元ツイートの方が懸念しているのは規約の問題ではありません。TVでも大々的にCMを打っているアプリだけに、「良く分かってない人が良く分からないまま重要な情報をアップロードしてしまう」事態を心配しているのです。とするとこれはユーザインタフェースの問題です。規約を変えてもさほど効果はありません。

では実際のUIがどうなっているか。
アドレス帳情報を送るかどうかを決める際には、以下のメッセージが表示されます。

自動で友だちを追加するためにアドレス帳の情報をLINEのサーバーに送ります。
送信された情報は暗号化され、友だちを探す用途のみに使用されます。

[許可しない] / [確認]

「許可しない」と「確認」ですよ。
好意的にとれば、ぱっと見でどちらを押せば良いのか分からないが故に、上の文章を良く読む。それを狙ってこういうUIにしているんだ、って所でしょうか。
悪くとれば単に分かりづらいんですが。

「確認」を選ぶとアドレス帳情報がサーバーに送信されます。
「許可しない」を選んだ場合はアドレス帳情報は送信されませんが、当然ながら「自動的に友だちを探してくれる」機能が働かないので、ID等を使って個別に友だちを登録していく必要があります。ならSkypeでいいじゃん。

いずれにせよ懸念の対象である「良く分かってない人」は、やっぱり良く分からないまま[確認]を押してしまうんじゃないかな、と心配してしまいます。

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