アニメの批判ポイントは色々ありますが、その内の幾つかは小説版で改善しているらしいとまとめブログ(リンク先ネタバレ注意)で読んだので、実際に買ってきて読んでみました。
スレで言われている通り、改善された点は数多くあります。凄く良い!という点もありました。でも僕は第2巻は買わないと思います、ごめんなさい。肌に合わないだけかも知れないんだけど。
以下、ネタバレちょっとだけあります。
この小説の感想を書く上で最も難しいのは、小説の感想を書いているはずがアニメの批判になってしまわないか、という点で…アニメ糾弾に行を割きたくはないので、簡潔にいきましょう。
キャラ描写
アニメ版では、各キャラが何を思って何の為に行動しているのか分からない事が余りにも多いけれど、小説版ではそういう事がない。
これ、地味に凄い気がします。アニメ版も小説版も主要登場人物は同じで、背景・経歴やとっている行動もほぼ一致しています。にも関わらず、演出の違い(グルーデック)や数人の脇役を配する事(ラーガン)によってキャラの見え方が大きく異なっているのです。
そうか、このキャラクターはこういう人物だったのか…と笹原くん ならずとも膝を打ってしまうほど。
主人公・フリットについても、年齢相応に感情に揺さぶられたり、天才性を発揮してみせたりと、設定に忠実です(アニメ版がどうだったかはもう触れません)。
SF描写・背景設定
フィクションといえどある程度の現実味は必要で、その点でも目立ったツッコミ所はなくまとめてきたように思います。
(ちょっと気になったのはスペースコロニーの大きさと回転数をやけに具体的に書いている点でした。試しに遠心力を計算してみたら地球重力の約0.84倍という結果になったので、その環境に慣れれば暮らしていく事はできそうな範囲でしょうか。誤差と呼ぶには大きな差ですが)
それでもやっぱり突っ込んでおきたいのは、この宇宙の軍事兵器は技術的な不均衡が有り過ぎるという点です。
『もはや骨董品』と評されるほど古いデスペラードが装備しているヒートスコップが、『コロニー隔壁を切断するための』ものだという理由で現行モビルスーツの装甲を『薄皮』のように溶断してしまうのは、余りにも不均衡。そんな武器があるならそれなりの装甲が開発されて当たり前でしょうが!
連邦軍とUEとの間は国交(?)がないので格差があって当然として、連邦軍領内でなぜこんな不均衡が。
ま、この辺は笑って済ませられるレベルです。全体としては違和感なく入り込めたと思いますし、それで充分でしょう。
個人的にダメだった点
以上のように話としては面白いんですが、内容ではなく表現・筆致とか読み味とか呼ばれる類のものが、僕の好みではありませんでした。一般的にはどうなんでしょう?
- 読点がすげー多い
闇の中で、瞳が動いた。
かすかな光に照り映えるその瞳は、人の悪意、それも純粋な悪意が形をとった、よこしまな宝石のようにも、見えた。
「あれが、ガンダムの船、かぁ…」
声は、ひどく楽しそうだった。
まるで新作のゲームが発売されるのを待つ子供のように、心から楽しげだった。
その楽しさ、というのはつまり、猫がねずみをなぶり殺しにする類の楽しさであることは、知れる。
その瞳はただ、人の持つどうしようもない悪意をたたえて、入港するディーヴァをずっと、見つめていた。
ー「スタンド・アップ」P135〜136より
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決して読点を足したりは、してません。原文の、ままです。
上記引用した部分に限らず、こういうリズムの文章が基本です。
上記引用した部分に限らず、こういうリズムの文章が基本です。
別に声に出して読んだりはしないんですが、それでも音読する時のリズムって考えてしまうんですよね。この小説を頭の中で音読(変な言葉)すると、なんというか森本レオ的なリズムというか、すっと流れていかない感じになってしまって、気持ちよくなかったのですよ。
- 似た表現が使い回される
ふわりとした髪を少し掻き上げて、
ーフリットの髪の描写 P18より
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ふわりとした金髪と、抜けるように白い肌
ーエミリーの容姿の描写 P21より
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エミリーのドレスはふわっとして、
ーエミリーのドレスの表現 P28より
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10ページの間に似た表現が3度も出てきたら違和感あると思うんですが、特に何も感じなかったんですかね。
以上。残念。
以上。残念。
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