2011/06/27

漫画感想)Landreaall(18)/おがきちか

連続で漫画紹介すると漫画ばっかり読んでるみたいだな…。
でもその中で今一番先が気になっているのが本作、ランドリオールである。

  
※限定版にはおまけの小冊子がつく

この漫画を紹介するのは難しいと感じる。原因は、複数のエピソードが同時並行で走っていって、それらが予想しえない形で決着(なるようになる)するというこの漫画のスタイルだ。

正直に言うと、1・2巻を読んだ時点ではそこまで飛び抜けて面白いとは感じていなかったのだ。ところがその後、最初の火竜とマリオンに絡んだ一連の話が一段落した段階で、「何この漫画めっちゃ面白いやん」となった。僕の場合はね。

そして18巻は、「展開」の巻であって「(ひとまずの)決着」の巻ではない。今起こっている事をきちんと整理した上で、今後を妄想しつつ、次巻を心待ちにしたい。
以下ネタバレ全開につきご注意あれ。


出産と祝祷

自由であれ、という祝祷はDXらしい。それは疑問がない。
問題になるのはDXが王になった場合の事だ。これまでの前振りからして、「王って何?」という疑問に対する一先ずの回答は「いつか国民全員の命と引換に落ちる首」という事になっている。その王が、国民に自由であれと祈るのはちょっととんでもないくらい清廉で自己犠牲的だ

この時点では、今回の円卓に推挙される事を彼は知らないわけだから、まだそういう自覚がなかっただけかも知れない。ただ、いつかDXが自分の首の価値を自覚した時、同じ事が言えるのだろうか?言って欲しいけどね。ヒーローだもの。

従騎士隊とのけじめ

真っ向から謝りに行くのは美点かも知れないけれど、相手が謝罪を受け取ってくれるとは限らない
「許せと仰るならそうします/それで済みます」はそういう事だ。謝罪は宙に浮き、本当に許してもらう機会はなくなってしまう。DXが(珍しく分かりやすい)寂しい表情を浮かべるのも無理はない。

今回は謝罪を受け取ってもらえて、それは彼らにとって幸運だった。しかしいつもこう上手く行くとは限らない。DXもそれは身にしみたろう。
もしまた、フィルが従騎士候補生として訓練に参加し始めた頃のように、チェシャ猫的活動をしたくなったら彼がどうするのか、見ものである。それが必要になるかも知れない機会は目前にあるのだ。

結婚とか恋愛とか

DXとイオンが、高位貴族としてはありえない結婚観を持っているのは明らかに両親の影響。不幸な事に悪影響と呼ぶべきか。
お互いの気持ちさえあえば目出度く家柄の釣り合った恋愛結婚ができた筈のディア嬢は早速玉砕。DXも無自覚っぽいけどもっと仲良くなりたかったんだろうなあ。

オズモおじさんが心配してくれているように、独身を貫いていたら義務として結婚させられてしまう。その前にいいお相手が見つかるといいけれど、現在の登場人物の中に候補者はいない…? アンちゃんは、ちょっと、恋愛にはならない気がするし。

馬上槍試合

前項と絡んで。イオンがカイルにキスする事態を避ける為に発奮したのはいいけれど、多分DXも六甲も忘れている。決勝戦に進んだら(展開としてDX対カイルになるのだろう)、彼だって誰か女子を指名しなければならないのだ。勝ったら祝福のキスを受けねばならないのだ。
さすがに実妹は無理だろう。

誰を選ぶのだろう?或いはそもそも選ばない展開がありうるか?
いくらDXがチェシャ猫でも、レヴィとチルダの為にわざと負けたりはしない。
ただ、あんな鎧兜に身を包んでいるのだから、入れ替わりくらいはやってもおかしくないか?紋章のついた衣装を入れ替える事に成功すればバレる事はない。

イオンに泣きつかれたら、従騎士隊とのけじめを忘れてでもスタンドプレーに走るだろうか?いくら槍試合がお祭りとはいえ、ちょっと彼の責任範囲を越えたいたずらになりそうだけれど…。

レディ・アプリにおまかせ

「俺は槍の一部」。こうしたスタンスはDXにとって珍しい、ひょっとすると初めてのものではないか。

彼は、幼い頃に槍熊の森で人を殺して以来、戦闘に責任と自制を徹底してきた。それはこれまでも言葉の端々に現れている(ティ・ティと基礎剣術の特訓をしてた時など)。

「自らが槍の一部になる」とは、全く逆の発想だ。
これは、ゼクセレン卿と初めて剣を交えたDXの剣先から爆発したものだし、イオンに勇気づけられてしまったアカデミー騎士団のモチベーションでもある(こういう、一件無関係の事柄が緩く繋がっている点はランドリの魅力の一つだ)。突き詰めれば剣は殺戮の道具であり、その道具の一部になってしまえば半自動的に身体は動くという現実。それに沿った理念。

騎士が王に心酔し、その王が命じるなら、騎士は各個の責任と自制を投げ捨てて、自らを王の剣と定義する。ザンドリオの騎士も、王に疑問を抱いていなければ、アプローゼの上のDXのような静かな気持ちで、速やかに殺戮を行なったのだろう
全ての責任と自制は王にある。むしろ自制ではなく「他制」と呼ぶべきか。王は、騎士団のテンションをコントロールできなければならない。イオンのように青天井で無自覚に盛り上げてはならないのだ。

というような責任を伝えるエピソードになるのだろうか。

他にも…

ロビンの件、クエンティンが隠していたDX似の女性の件など、先が読めなくて気になる話は沢山ある。
これらがどう結実していくのか、本当に興味深い。
最新刊が発売されたばかりだというのに、次はまだかと期待を膨らませてしまう。待ち遠しいなあ。

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