ロリコンを患ったので塾講師になった。しかしロリコンは子供を悲しませてはならない。YesロリコンNoタッチ。見て癒される事はあっても、決して手出しはしない。
そんな主人公・伏見イナリが、女子中学生と真剣な恋に落ちてしまい――。
とても面白かったので早速紹介。直接的なネタバレは無し。
なお本作に性的な描写は含まれない。
文章は明るく時に馬鹿らしく、全体としてとても清々しい。特に人物描写は軽妙で、すっと共感を覚えてしまう。
が、内容は実は重い。社会的な蔑視対象(ロリコン・オタク・ニート)としての生き方、教育のあり方、信頼と裏切り。などなど。
しかし本作の中心は、過ちを犯した後の責任のとり方、だと思う。
伏見イナリは間違いを犯した(性的な意味ではなく)。それを償わなければならない。償いきれるものではなくても、少しでも。
それでも、自身の感情として諦めきれないものはある。愛する人とは離れたくない。
その葛藤と問題提起の果てに、イナリが出した答えはちょっとぶっ飛んでいる。荒唐無稽というわけではない。感情に流されがちな人間としては、余りにも清廉で聖人じみた答えを、彼は苦しみながらに選び取る。
対象事例として、職場の同僚が登場する。彼も、イナリとは全く違う内容だが間違いを犯した。そして、イナリに比べれば感情的な、人間臭い選択をした。
2つの事例が出てくる事で、他の事例、例えば読者が以前犯した過ちに対しても、同じ問題提起がつきつけられる。感情に従って生きてはいないか。これは糾弾。イナリのような選択ができるかという挑戦。
以下、少しだけネタバレを含むので注意を。
伏見イナリはロリコンではない、と思う。そう見えるだけで。
彼は育成マニアなのだ。人が成長するのを見るのが好きなのだ。彼の好きなゲームはRPG。そしてMMORPGにもハマっている。
成長の伸び幅は子供の方が大きい。だから彼は子供(を見るの)を好む。周囲からは、或いは自身からもロリコンとして認知されたとしても。
もちろん、どんな背景であれ罪を犯せば裁かれなければならない。しかしそうではないロリコンはどうだろう?ロリコンに見えるだけで実は違う嗜好なのかも知れないのに。
彼らが蔑視を受けなければならない合理的な理由などない。
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