セカンドシーズン終了、そしてファイナルシーズンに続くらしい。物語シリーズ最新刊、恋物語のご紹介。
以下、ネタバレ全開。今回は比較的短め。
どう書こうか凄く悩んだけれど、まずは読後の印象をこう表現しよう。「物足りなかった」。
物足りなかったトコ
面白い点は色々あった。一人称になって初めて見えてくる貝木の内面は可愛らしいし、ガハラさんや余接ちゃんとの掛け合いも楽しい(余接ちゃんは相変わらず変な方向性だが)。でもその上で更に物足りないと、そう思った。
僕が求めているのは言わばアハ体験だったようだ。それが見当たらなくて不満だったらしい。
ちなみに、僕が一番好きなのは猫物語(白)「つばさタイガー」だ。
この話では羽川翼が怪異を生み出してしまうが、その原因、きっかけが終盤まで分からない。それが最後に、物語前半に何気なく挟まれているほんの一節が彼女のメンタルを揺り動かしていた事が明かされる。この謎解きが快感だった。
猫物語に限らず、このシリーズにはどれも終盤で明かされるちょっとした謎が仕込まれてきた。
ガハラさんが蟹に出会ったタイミング然り。真宵が牛に迷わされているのではなく実は、であったり。猿の手じゃなくて実は、であったり。
そういう謎が今回は見当たらなかったんだよなあ。見落としてるだけだろうか。撫子との舌戦にしても、クローゼットの中身という伏せカードの存在があからさま過ぎて、もう一声アハ体験が足らなかったのです。
貝木と撫子
冒頭、貝木はそれなりの紙幅を割いて「信じるな、疑え」という持論を述べる。これはつまり信じるか疑うかの二択問題、二元論的なものの見方。疑わない=信じている、という消去法。
が、こう考えている(と自称する)貝木がいざひっかけようとした所、撫子は第三の選択肢だった。疑ってはいないが信じてもいなかった。それは殆ど「無関係」に近い。
貝木ですら哀れむような事を言っていたのはびっくりだけど、撫子は受動態の人間だった。可愛がられ、許され、遠ざけられて、少なくとも他者との関係性に於いて、積極性というものを発揮できなかった(似たような事は囮物語の感想にも書いた)。
その点、貝木は逆だ。能動態。疑われていようが信じられていようが関係無く、自分がそうしたい時に騙し、はぐらかし、逃げる人格。
この二人が関係を持つ事で、撫子の積極性がひきだされ、貝木は追い詰められる形になったのは、なんというか笑い話というか。貝木は貝木で得るべき教訓が多い出来事だったろう。
貝木語りの嘘?
貝木、このラストシーンは嘘じゃねぇ…?
死んだと思わせておいて、居なくなったと思わせておいて、その後で何か仕掛けてくる貝木ってのは凄く想像しやすい。むしろこいつ殺しても死なないだろうという感じがビンビンするよ!
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