2013/07/30

ゲーム感想)新世界樹の迷宮ミレニアムの少女/ATLUS

すっかりダンジョンローグの定番としての地位を確立した世界樹シリーズ、その第一作がリメイクされて3DSに帰ってきました。

ストーリーモードの追加に加え、操作性・機能性の向上、成長&戦闘システムの大幅刷新と『もはや別物じゃね?』レベルにパワーアップしていますが、中身はしっかり世界樹です。


今にして思えば、2007年に発売された初代世界樹はかなり地味でした。
  • ひたすら渋いバトルバランス
  • 派手なムービーなど無く想像力で補うイベントシーン
  • 一番盛り上がるのは全滅した時
そこへ、イベントムービーや声優さんや大味な技といったキャッチーな要素を放り込んで、より広い対象にウケるようにした…という感じでしょうか。そういうの気に入らない人もいると思いますが、なら使わなければ良いんですし。

以下、ストーリーのネタバレ等ありません。
長いですが、そこは愛の量ということで。


ストーリーモードと想像の翼

新しく追加されたストーリーモードは、自分で作ったキャラではなく予め作られたキャラで遊ぶというもの。企画発表当初はファンの間で物議を醸しました。

『自分でキャラを作ってこそ世界樹だ』

というRPG原理主義みたいな感情があったように思います。それはそれで尊重すべきですが、この感情とストーリーモードは決して相反するものではありませんでした。

例えば僕の場合、迷宮内で変な食べ物を見つけた時の見役は決まってアーサーです(ひどいな)。公式設定ではそんなこと全く決まってませんが、プレイヤーである僕がそう決めました。そうだったら面白いなと想像しました。
想像して遊ぶ余地はちゃんとあるんです。多少形が変わっても。

それに、RPG原理云々は脇に置いとくとしても、ストーリーモードは分かり易いですよ。オリジナルキャラやミニダンジョンを追加しイベントも大量に増えたことで、世界観や出来事の流れがより詳細に掴めます。
僕は新キャラが結構好きで、微妙に『翠星のガルガンティア』のチェインバーを彷彿とさせる…いや、ストライカーかな。つまり人工知性の切なさというか、いじましさというか、そういう話がありまして。イイです。

新システム『グリモア』

宝箱や戦闘を通じて、グリモアというアイテムが手に入るようになりました。これは人間や敵のスキルを石の形で保存したもので、この石を装備すると封じ込められたスキルを使うことができます。

例えば、
  1. メディックのサイモンが、『キュア』を封じ込めたグリモアを作る
  2. アーサーが、このグリモアを装備する
  3. アーサーはアルケミストなのに、『キュア』を使える!
というわけ。
グリモアストーンは1つだけしか装備できませんが、1つのストーンには最大7つものスキルが入ります。よって、メディックとしての仕事が殆どこなせるアルケミストとか、色んなクラスの良い所取りしたキャラとか作れるのです。

これは過去作にあった『サブクラス』のシステムより更にキャラメイクの幅が広がるシステムで、こんなパーティ作ったら強いんじゃね!?と考えるのが楽しくてたまりません。

新クラスとスキル

オリジナル版にハイランダーとガンナーの2クラスが追加されました。ガンナーはⅡなどにも登場していますが、ハイランダーは完全新規クラスです。
これがまぁ、強い強い。

一言で言えば物理アタッカー。更につけ加えるならば自分や仲間の体力を犠牲にして火力を増す前衛戦士』という感じでしょうか。リスクを負うだけあって高火力です。

ハイランダーのスキルで最も華があるのは、『ディレイチャージ』&『クロスチャージ』という2つの突進技でしょう。懐かしのアバンストラッシュXみたいな技です。ろくに強化支援がついてなくても4桁台のダメージを叩き出せるのは流石主人公って感じ。

しかしとは言え、世界樹Ⅳにあったドライヴ系スキルのように5桁ダメージを出すのはかなり大変そうです。
ハイランダーはそこまで一撃に頼る戦士ではありません。彼らが頼るのは、手数
そういう面で、僕にとって一番印象的だった新スキルは『血の暴走』。コレです。

血の暴走

自分の体力が減った時、一定確率で通常攻撃を放つ常時型スキル。

いわゆるカウンター技かな?と思われそうですが、カウンターとは似て非なるものです。攻撃を受けた時ではなく、自分の体力が減った時、なんです。
先ほど紹介した通り、ハイランダーは自分の体力を犠牲にして攻撃できます。その減少によって血の暴走が発動すれば、追加で敵を攻撃することができます。例え敵が何もしてなくても。
僕はカウンター技ではなく逆ギレ技と理解しました(笑)。

手数スキル雑感

ハイランダーを中心とするかのように、『手数重視』を支えるスキルが複数用意されています。
  • メンバーの通常攻撃に追撃を加える『阿吽の尾撃』(ブシドー)
  • メンバーの属性攻撃に追撃を加える『属性チェイス』(ソードマン)
  • 通常攻撃を属性攻撃に変える『○○の序曲』(バード)
  • 自分の攻撃後、メンバーに追撃させる『追撃の号令』(ソードマン)
  • 1ターンで最大3回攻撃できる『アクトブースト』(ガンナー)
  • 通常攻撃を一定確率で2回繰り出す『ダブルアタック』(ソードマン、ガンナー)
グリモアも踏まえつつこれらを組み合わせて運用すると、1ターンの間に攻撃できる回数は軽く2桁に上ります。きちんと数えていませんが20回くらいは普通に行けるかな?

唯一難点があるとすれば、ここで繰り返しているのは所詮『通常攻撃』であるという点です。回数は多くてもそれぞれの威力は知れています。そこでそれを補う、つまり『通常攻撃を強くするスキル』はというと、もう一人の主人公、フレドリカが就いているガンナーに多く用意されているのです。
  • クリティカルダメージを大きく増加させる『ウィークショット』(ガンナー)
  • クリティカルの発生確率を上げる『一閃ブースト』(ブシドー)
  • 通常攻撃が後列に貫通する『ペネトレイター』(ガンナー)
  • 通常攻撃が全体攻撃になる『バルカンフォーム』(ガンナー)
中でもウィークショット+一閃ブースト+ダブルアタックは非常に強力で、レベルの低い攻撃スキルを使うくらいなら通常攻撃の方が平均ダメージが大きかったりします。

またガンナーは、ハイランダーが苦手とする部位縛りや属性攻撃を広く備えており、二人の主人公が互いの弱点を補い合っていると考えると楽しいです。
とは言え、二人共火力担当ではあるんですけどね。

エネミースキル諸々

グリモアには、味方キャラクターではなく敵のスキルが入ることがあります。これらの敵専用スキルはエネミースキルと呼ばれ、人間のスキルにはないメリットも持っています。

最大のメリットは、武器制限がないことでしょうか。
人間のスキルは、例えばチャージ系スキルは槍を装備していないと使えないといった制限がかかっていますがエネミースキルにそんなものはありません。誰でもいつでも使えるのが良いところ

威力は控えめながら低消費で全体攻撃ができたり、消費は重いもののエグいダメージを出せたりとバリエーションが豊かなのも特色と言えるでしょう。

七王のグリモア

ボスキャラクターだけが非常に低確率で(ある条件を満たせばそれなりの確率で)ドロップするのが『○王のグリモア』で、七種類あるので七王と俗称されます。
どれも高性能ではありますが、個人的に使い勝手が良いと思えるのは3つ位でしたかね…。
第一層のボスがくれる狼王のグリモア、スキル名『群狼の襲撃』は非常に優秀な攻撃補助スキルで、早期に入手できれば以後の攻略何度が大きく変わるものと思います。

まとめてマイパーティ

上記をひっくるめて、どんなパーティ編成にしたかを紹介して結びと致します。
  • エルガディ
    ハイランダー⇒パラディン
    ストーリーモード主人公。盾技滅多に使わない系パラディン。
    グリモアで『属性チェイス』と『追撃の号令』を装備。無口だけど「俺の背中について来い」と最前列で血煙を切り開く。
  • ラクーナ
    パラディン⇒ハイランダー
    ストーリーモード盾役。ハイランダーになりました。低めのSTRは装備で補う。
    グリモアスキル『憤怒の力』を活かす為、生死のギリギリで戦う酔いどれ槍士。
  • 緋ノ鍍
    ブシドー⇒ブシドー
    ブシドー♀。通常攻撃の鬼1号。
    グリモアで『リミットレス』と『エクスタシー』を修得し、ラクーナの『スティグマ』が決まった時は追い討ちを叩き込みます。『阿吽の尾撃』が大好き。
  • 鉄竜兵ナーガ
    ソードマン⇒ガンナー
    ソードマン♂。通常攻撃の鬼2号。ガンナーより高STRなガンナー。
    グリモアはサブヒーラー仕様となっております。
  • ハーン
    ダークハンター⇒バード
    ダクハン♂。メインヒーラー&バッファー。バードよりタフくて速いんです。
    グリモアはメディック系と『群狼の襲撃』。好きな歌は『禁忌の輪舞曲』。
あれ…フレドリカがいない…。
ガンナーはドリちゃんでも良かったんですけどね、僕の中では主人公の背中を守るのはラクーナだったのです(使うなら前列で主人公と並べて使いたかったのですが、ガンナーの体力ではね…)。

ハーンとラクーナ以外は割と無口なので、探索中は黙々と各々の仕事にあたります。でも酒場に誘われれば誰も断らない模様。酒の席になると一気に弱みをみせる緋ノ鍍ちゃん、それをおろおろしながらフォローするナーガ、ここでもやっぱり無口なエルガディ。
そんな彼も、第二階層の蔦ブランコではターザンごっこに興じてしまいました。恐るべき自然の罠…!

新クラス以外でパーティに入れたクラスについては↓こんな感じです。

パラディン、どう使う?

かなり下がったSTRは、そこだけ見れば物理攻撃役として不満を感じます。
僕の場合はハイランダー生まれの主人公(高STR)をパラディンに据え、『パワーディバイド』で仲間をかばいつつ『血の暴走』で反撃するような使い方が主です。
パラディン生まれのラクーナ(中STR)はハイランダーに変えることで高倍率のスキルを使わせ、更に憤怒の力で底上げすることで補っています。
個人的には、パラディンのスキルは魅力的ですがステータスはイマイチだと思っています。他のクラスで作ってパラディンに転職させるか、『オートガード』など有用なスキルをグリモアとして配るかといった運用をお勧めしたいです。じゃあなんでラクーナが入ってるかって、そこは伊藤静さんとラクーナへの愛ですよ。

ブシドーの死に易さ改善

オリジナル版ではブシドーの死に易さったら酷いもんでしたが、本リメイク版ではそこそこ硬く調整されています。防御力を高める『青眼の構え』や回避力を高める『居合いの構え』を使えば更に生き残り易くなるでしょう。
隙のない、かなり強いクラスとなりました。尖ってなくてツマラないという気もしますが。
むしろ僕のパーティは『憤怒の力』(体力が半分以下になると攻撃力が増える)を発動させたいラクーナが常に傷ついているので、彼女の方が死に易いです。それでも憤怒したいお年頃。

バード、歌の力

シリーズ通して僕はバード(やダンサー)を愛用してきました。オリジナル版だと歌は一度かければ何ターンでも持続するという大きな利点があり、本作で制限ターンがついたことを嘆く声も聞こえました。
しかし代わりに『禁忌の輪舞曲』が追加。この新スキルは、味方にかかっている全てのバフと敵にかかっている全てのデバフの持続ターンを伸ばすという絶大な影響力を持っており、バードのスキルでなかろうと問答無用で延長できます。ブシドー最強の構えである『無双の構え』は普通ならどうあがいても3ターンで解けてしまいますが、『禁忌の輪舞曲』だけが『無双の構え』を持続させられる点も美味しいですし、デバフ役もかけ直しから解放されます。消費が重いのが難点ですが、『禁忌』というだけのことはある効果ですね。

 
サントラは第四層『枯レ森』の探索BGMが好きです。

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