僕は友達に勧められて原作小説を読んで一発でハマリ、以来何度も何度も「おもしれーなぁおもしれーなぁ」と読み返してきた作品なので、映画化に大喜びで観てきました。
結果?最高でしたね!超面白かった!
とはいえ、原作小説が大好きな僕にとって『面白い』だけでは映画版を絶賛するには値しないわけです。そのまんま映像化したって僕は喜ぶんだから。
「映像ならではのプラスアルファはあるの?どうなの?」とハードルを上げた場合に、この映画化はどうだったかというと
超面白かった!スタッフ&キャスト様ぐっじょぶ!
尺を縮める為か、登場人物を減らしたりシーンをカットして再構成したりという改変は結構ありますが、それで変な所もなかったと思います。
(保健室のセンセイが好きだった方はご愁傷様です)
というわけでご紹介していきます。是非劇場で観て欲しいと思うのでネタバレはありません。
あらすじ/みどころ
主人公、佐藤一郎は何処にでもいるごく普通の高校一年生。少なくとも入学直後の数日間はそう振舞うことに成功しています。
しかしある晩、忘れ物を取りに夜の学校に忍び込んだところ「青の魔女」と遭遇してしまい、それを契機にクラス内での彼の立ち位置は変化してゆきます。
「中二病でも恋がしたい!」の小鳥遊六花や「僕は友達が少ない」の羽瀬川小鳩のような――もうちょっとガチな――ヒロインと、彼女に振り回される主人公、という構図。この主人公はただ振り回されるだけじゃないですが。
テーマの中には若干重めのものも含んでいて、学内いじめとかスクールカーストとか、そういう要素もかなりあります。
全体のテイストは爽やかラブコメですが、深く考えずに笑って観ていられるという感じでもありません。
映画版の難点を一つ挙げるとすれば、原作に比べてコメディ要素(笑いの比率)が減ってた、ような?そんなに気になるほどでもなかったですが、重く感じたはそのせいだったのかも。
緊張感/気まずさが良かった
映像にも文字にもし難い『緊張感』みたいなものがぴりっと伝わってくる、迫力あるシーンが多くありました。
具体的には教室で喧嘩になってるシーンとか、主人公と家族の修羅場(?)シーンとか。
僕は『観ているだけで呼吸が苦しくなるような緊張感に満ち満ちたシーン』が大好きで、これまで観た中でベスト・オブ・窒息寸前シーンは『半落ち』という映画の取調べシーン。
取調べ官(刑事)役の柴田恭平さんが容疑者役の寺尾聰さんに自白を迫るんですが、言いたくない部分は頑として口を割らない。台詞は極端に少なくて、言ってしまえばただ睨み合ってるだけみたいなシーンなんですが、これが異常に緊張するんです。主役の二人の引力、いやさ重力にひたすら感服した次第。
実写映画であれば演じる俳優さんの放つ迫力に依って緊張感を出すわけですが、アニメ映画の場合どうしてるんでしょうね?
そういうシーンだけキャラの顔が違ったらおかしいですし(多少の表情変化はあるにせよ)、本作の場合は描き方がすごく違うということもありませんでした。
おそらく余白の取り方というか、空間の緩急が緊張感を描いてるものと思います。まぁ理屈はどうあれあの居心地の悪さはリアリティがあって良かったです。
声が良かった
一郎役の島﨑信長さんはどこかで聞いた声だなーと思ってたら「あの夏で待ってる」の海人君だったんですね。
その時も思いましたが、割と恥ずかしい感じのことを照れもなく堂々と叫んでしまって、それで嫌味にもならないイケメンボイス。
本作の佐藤一郎というキャラクターは、詳しくはネタバレ回避の為に伏せますけれど、
表面的には『変わってくれよ』みたいな一つの台詞の中に『守ってやりたい』という想いと『お前が悪い』という糾弾が同居していて、かつ腹の中では『俺だって変わったんだから』と激しく後悔しているという、矛盾しまくりで前向きだか後ろ向きだか分からない、そんな発言を沢山する子です。
そういう台詞って、ともすれば明るいけど投げ槍に聞こえたり、うじうじ悩んでるように聞こえたりしてしまう難しさがあると思うんです。これを彼(島﨑さん)は全然そのどちらでもなく、真摯で真剣な言葉として聞かせてくれました。カッコ良いと思います。
ヒロイン、良子役は花澤香奈さん。そういえば上で名前が挙がった小鳩ちゃんも彼女でした(偶然)けど全然系統は違って、これまでのキャラでいえばカルタちゃん(妖狐×僕SS)か初期の千石撫子(物語シリーズ)みたいな淡々と平坦に話す方向の演技です。
で、それが超可愛いの。どうしよう。
思えばこれまで、彼女の出ているアニメを結構観ていて、これまでもお気に入りのキャラは多くありましたが(しろくまカフェのメイメイみたいなのも大好きです)、今回の良子役で僕ははなざーさんの信者になったという気がします。惚れ直した?みたいな。
既に信者の諸兄はこれを見逃す手はないですよ。必ず観るべきです。
可愛い可愛いばっかり言うのも失礼なのでもうちょっとピンポイントで行くと、良子は現実に上手く適応できないが故に自分で妄想した世界に逃げ込んでいる、ほぼ普通の女の子です。
普通じゃない部分(隠れた才能的な)もあることはありますが、妄想力は人並み。その口から迸る脳内設定にはしばしば綻びが見られます。
- 妄想が強固な部分(多分何度も繰り返し考えてる)
- 綻びのある脆い部分(今考えただろソレ)
- 妄想できてない部分(素)
最後に
↑上映劇場一覧
↓一番グッとくる台詞を引用して結びます。
「……普通がそんなにイヤか。ただの一般人じゃそんな不満か。目立ちたいなら、人に見られるだけの努力をしろよ。時間かけろよ。本物になれよ。そういうのすっ飛ばして、いきなり結果だけ求めんな。俺はそういうの大嫌いだよ。イジメられて当然だよ。どうしてもっと素直に助けたいって、思わせてくれないんだよおまえらは……」
「AURA~魔竜院光牙最後の闘い~」P270より
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耳が痛い。
以上です。長文に最後までお付き合いありがとうございました。
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